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3-13. ガラパゴスコバネウ 世界で唯一飛べないウ(奥野玉紀)

3-13. ガラパゴスコバネウ 世界で唯一飛べないウ(奥野玉紀)

「コバネウ」とは「小羽根鵜」のこと。その名のおとり、翼が小さく、世界で唯一飛べないウ(鵜)」である。英名も「Flightless Cormorant(飛べない鵜)」。ガラパゴス諸島の固有種で、諸島に天敵がいないため逃げる必要がなかったこと、また海から十分に餌を得ることができたことなどから、飛ばない方向に進化したと考えられている。

 最近の遺伝子研究によって、最も近縁とされるミミヒメウナンベイヒメウとは、約200万年前に分かれたと示された。これは現在の生息地が形成される前であり、かつては、現在の諸島の中央部にある古い島々に生息していたと考えられる。

飛べない鳥、コバネウ

和名  ガラパゴスコバネウ
英名  Flightless Cormorant
学名  Phalacrocorax harrisi
全長  
85~93cm
分布  
フェルナンディナ島、イサベラ島北部~西部
生息数 1,927羽(2007年ダーウィン研究所による調査推計値)

翼を広げたガラパゴスコバネウ(波形克則撮影)。

翼の代わりに発達した脚

コバネウの生息する餌の豊富な海域

諸島西部の海域は、クロムウェル海流がガラパゴス海台にぶつかり湧昇流となって海底の栄養塩類を押し上げる。このため多種の海洋生物が生息する。

 

コバネウの生息する餌の豊富な海域

コバネウのペア

オスから抱卵中のメスに差し出される海藻には、プレゼントの意味があるという(波形克則撮影)。
コバネウのペア