キービジュアル

2-2. ガラパゴス諸島は溶岩でできている(松岡數充)

2-2. ガラパゴス諸島は溶岩でできている(松岡數充)

 ガラパゴス諸島は、形成されてから一度も大陸と陸続きとなったことのない海洋島である(2-9参照)。また、諸島のすべての島は、東太平洋の3,000〜4,000mの深海大平原から立ち上がる水深約500mの「ガラパゴス海台」に乗っている。そして、これらの島々は玄武岩質の溶岩や火山噴出物でできている。ガラパゴス諸島は、500〜1,000万年前から現在まで続く火山活動(ホットスポットの活動)により形成された“溶岩でできた島々”なのである。

ガラパゴスに見られる形態が異なる溶岩

 ガラパゴス諸島の衛星画像を見てみると、フェルナンディナ島とイサベラ島は、高い山の中腹を除いた大部分が黒褐色になっていて、火口から溶岩が流れ出た様子をうかがい知ることができる。黒褐色のところは火山灰や溶岩がむき出しになっている場所で、植物はほとんど生育していない。

 実際にそこを歩いてみると、流れ出た溶岩がさまざまな形になっていることに気づく。この多様な形は溶岩の粘性によるものだ。流出した溶岩の粘性が低いときには、先に冷却固結した溶岩に覆いかぶさるように冷えて固まる。こうしてできた溶岩を「アア溶岩(aa lava)」という。表面がガサガサしていて歩きにくいのが特徴的だ。なお、「アア」とは、溶岩の上を裸足で歩いたときの熱さを表すハワイの言葉である。ハワイでは、キラウエア火山でアア溶岩を見ることができる。

ガラパゴス諸島の衛星画像

衛星画像は、「Google Earth」などで手軽に見ることができる。

© Google

ガラパゴス諸島の衛星画像

アア溶岩

フェルナンディナ島のアア溶岩(波形克則撮影)。

アア溶岩

 さらに流動性の高い溶岩の場合には先端が固結し、波状や縄状の形になって固まる。「パホイホイ溶岩(pahoehoe lava)」である。ガサガサしているアア溶岩に対し、こちらは表面がややなめらかで丸みがある。なお、この「パホイホイ」もハワイの言葉で、「なめらかな」という意味である。

パホイホイ溶岩

フェルナンディナ島プンタ・エスピノサのパホイホイ溶岩(波形克則撮影)。

パホイホイ溶岩

 辺り一面が平坦な溶岩原では、そこに噴出した溶岩が冷却・収縮する際に形成された多数の割れ目が発達していることがある。さらに、断崖絶壁の海岸では見事な柱状節理(ちゅうじょうせつり)(columnar joint)に目を奪われる。節理(joint)とは、岩石中にできる規則正しい割れ目のことであり、柱状節理は岩体が柱状になったものをいう。現在も活動中の火山があるフェルナンディナ島やイサベラ島では、溶岩の割れ目にはヨウガンサボテンが、海岸にはマングローブが生育するだけである。ここに土壌は存在しない。

柱状節理

サウス・プラザ島にて波形克則撮影。

柱状節理

溶岩でできた大地と植物の生育

 衛星画像に戻り、今度は、ガラパゴス諸島の中央部に位置するサン・クリストバル島やエスパニョラ島を見てみよう。フェルナンディナ島やイサベラ島が黒褐色であったのに対し、こちらは緑色に見える。これは植物が生育していることを示している。さらに、フロレアナ島、サンタ・クルス島には、ミコニア低木やスカレシア樹林が発達しており、樹木に覆われた大地が広がっている。

 植物が生育するには土壌が必要だ。これらの島々には土壌がある。しかし、この土壌は大規模な森林を育てるにはあまりにも薄くて脆弱である。サンタ・クルス島のプエルト・アヨラの工事現場を覗いてみるとよくわかる。工事は、玄武岩石との戦いである。玄武岩はマグマが冷却・固結した火山岩の一種。真っ黒な多孔質で割れ目が顕著な塩基性岩である。

地球規模の歴史では新しい島々

 溶岩でできているガラパゴス諸島は、現在も火山活動が続き、諸島に新しい大地が付け加わり続けている。諸島における火山活動については次節に譲るが、新しい大地の年齢を0歳とするなら、諸島内でもっとも古いとされるエスパニョラ島の年齢は約500万歳にあたる。約45億年もの地球の歴史と比較すると、現在のガラパゴスの陸地がいかに新しいものかがわかるだろう。

ガラパゴス諸島の大地と植生(Maは100万年を表す)

諸島西側のフェルナンディナ島の新しい大地は0歳、東側のサン・クリストバル島は約240~400万歳といえる(松岡數充撮影)。
ガラパゴス諸島の大地と植生(Maは100万年を表す)